杭州の中秋節の風習は歴史が長い。唐の時代には、杭州ではすでに「天竺寺でモクセイの実を拾う」「銭塘江の海嘯を見る」などの風習があり、著名な詩人白居易の作品『江南憶』にも描かれた。北宋になると、西湖はさらに蘇軾に「三潭印月」ができたことで月見の名所となった。
南宋時代、杭州の中秋節の風習はピークに達し、月を祭り、月見をし、月餅を食べ、親友への贈り物、海嘯を観賞するなどの豊富なイベントが含まれ、地方的な特徴を形成した。中秋節の月見という風習を南宋にほぼ形にして、今に至っている。
杭州では、「月見」は西湖の名所と結びつくことが多く、ユニークな魅力を持っている。中秋節の夜、空の明るい満月が澄んだ西湖に静かに映り、見上げても、見下ろしても、月夜の魅力が一人一人の目を占めている。古来、この美しい何とも言えない景色に何人が酔いしれてきたことだろう。毎年中秋節には数え切れないほどの人々が西湖に集まり、観光しながら月見をして、帰るのを忘れてしまう。
三潭印月
三潭印月は「西湖十景」の一つ、蘇軾が主導して西湖の中央に建てた3つの小さな石塔で、最初の用途は最も深いところを示す標識だった。中秋節の夜、観光地のスタッフは三潭印月のそばに漕ぎ、それぞれの石塔の真ん中の透かし彫りの穴に灯したろうそくを置い、そして薄い紙を穴の丸い口に貼り付ける。ろうそくの光が西湖に映って、まるで小さな月のようだ。空の月、湖の月、石塔の月、そして人々の心の月、これが西湖の中秋の「33の月」である。すべての景色が西湖に映っていて、本当に夢中になる。
平湖秋月
「西湖十景」の一つの平湖秋月も杭州の最も代表的な月見の名所である。平湖秋月は西湖の岸辺にある回廊とあずまやで構成された建物で、ここの水面は鏡のように穏やかで、月の映り込みがはっきり見える。建物の古風な窓や門を通して月を見るのは、まさに昔の光景である。
月岩
月岩は鳳凰山帰雲洞近くの敷地約10ムーの石林にある。伝説によると、月岩は南宋皇宮の月見の場所だそうで、月岩の高さは約6 ~ 7メートル、上部に直径約30センチほどのきちんとした丸い穴があり、月岩の前には「桂月池」と呼ばれる池もある。中秋節当日の夜に天気がよければ、月光はちょうど頂部の丸い穴を通り抜け、地面に長さ2メートルの投影を形成することができ、これはユニークな醍醐味だ
城隍閣
呉山山頂の城隍閣は杭州の中秋のお月見の場所の一つ、4階の展望台に立つと、片側には夜の麗しい西湖、もう一方には明かりが灯った市街地があり、空の満月は手に届きそうだ。城隍閣は中秋節の期間中にわざわざ拝月台を設置し、ここに来ると古代の拝月の礼を体験することができる。中秋節にはお茶とおいしい食べ物が欠かせなく、城隍閣では中秋スペシャルメニューを販売、耳に心地よい伝統楽器の演奏とともに、旬の料理を味わうことで、体も心も満たされる。
銭塘江
「八月十八日の海嘯、天下にはまたとない壮観な光景。」北宋の詩人、蘇軾は銭塘江海嘯を絶賛したことがある。月見は杭州の唯一無二の銭塘江海嘯と結びついて、精緻で優しい西湖よりも、雄大な海嘯が月見に異なる気質を与える。古来、月見をしながら海嘯を見ることは数え切れないほどの人を惹きつけてきた。現在、優しい月光と荒れ狂う波が寄り添い、両岸の眩しい照明に引き立てられて帰るのを忘れるほどの絶景となった。
2009年、西湖中秋節の月見は第3回指定の浙江省無形文化遺産代表的なプロジェクトのリストに登録された。今、西湖だけでなく、杭州全域の観光地で毎年中秋節をテーマにした一連のイベントが開催される。月見を通じて国の幸福を祈り、国民の幸福に対する真摯な祝福を表現する。市民と観光客に美しく忘れられない中秋節を過ごしてもらう。